我慢の限界に来ていたある日、夜遅い時間帯ではあったが、近所で離れて暮らしている家族に電話し、この時間に診てもらえる病院がないかどうかを聞いてみた。
各所に確認してくれたようで、ある大きな病院で、夜間の緊急対応が出来る事がわかったので、家族の車で迎えに来てもらい病院へ向かった。
病院につくと、何人か他の患者も並んでいた。問診票に症状を記入。しばらく待たされた後、血液を採取され再び待機。血液検査の結果、看護師から伝えられたのは「急性膵炎であろう」と。
すぐに入院してくれと言われ、移動式のベッドの上に乗せられ、「尿道に管を入れるので、同意してほしい」と言われた。
尿の採取に必要だからと言うことであったと思う。恥ずかしさより、腹部の痛みの方が勝っていて、断る余裕もないので同意した。
ICU(集中治療室)へ
ICUに入る事になった。これは、私の記憶と同行した家族の記憶が一致していないのだが、私の記憶では、「今は部屋に空きがないので、とりあえずICUへ」ということだったと思ったのだが、家族の話では、「危険な状態なのでICUへ」という風に記憶しているらしい。
ICUに入ると、複数人の医師や看護師にベットの周りを取り囲まれた。医師の腹部への触診が始まった。触る場所を移動させながら「痛い場所は?」等と問いかけてくる。
看護師が点滴の準備を行っている。両腕に2、3本づつ、計5、6本の点滴が取り付けられた。点滴の中身は、「膵臓の炎症を抑える薬」「栄養剤」「水分」など、ということであった。また、腹部のエコーも行われた。
病棟へ
翌日、ベッドが空いたため病棟に移動した。10-15人の相部屋だった。痛みに耐えながら、2,3日を過ごす。同室の患者さんの鼾がひどく、痛みも相まってほとんど眠れない。
家族が、せっかくお見舞いに来てくれているのに、ほとんど上の空で、返答もままならない状態。
時々医師がやって来て触診を行い、看護師は数時間おきに点滴の交換を行っていた。点滴の交換は、点滴の種類ごとに液が落ちる速さや量が異なる様で、一本づつ行われる。
尿道に挿し込まれた管は、ベッドの下のタンクに伸びていて、そこに尿が溜まっていく。一定量まで溜まると、看護師が回収しどこかへ運んでいた。血糖値の測定、他の血液検査も行われた。
痛みがやわらぐ
2,3日後、医師の回診があり、いつものように触診が行われた。「大分お腹が柔らかくなって来ている。痛みも治まってきたのでは」みたいなことを言われ、「え?」と思ったが、そういえば・・・。
確かに治まってきている。言われるまでは、まだ痛いと感じていた。いや、思い込んでいたと言った方が正しいかもしれない。
痛みが引き始め暫くすると、おなかのあたりに違和感を覚えるようになる。腹を下したよう感じ?そしてガスが出るようになる。その話を医師にすると、「炎症が収まってきて、周辺の臓器が動き始めた」のだと。